生きて死ぬ智慧
生きて死ぬ智慧_b0002580_10235446.jpg <作者あとがき より>
 私は現在六十六歳です。
 1969年から病気をしてますから、36年も病んだことになります。
 激しい嘔吐と腹痛、頭痛、めまい、傾眠と非常に苦しい症状が1週
 間も続き、次の1週間は寝たり起きたり、第3週目でやっともとに
 戻れるのですが、この周期が1ヶ月に1度ずつ巡ってくるのです。
 ということは、月に2週間しか起きられないということです。
 病気の原因がわからないので、どの医師にかかっても心因性
 のものと診断されました。
 心因性のものといっても、何か証拠があるわけではなく、
 私の気のせいや気のもち方が悪いといわれるのです。
 家族からも責められましたが、私は自分自身を責めました。
 病気の苦しみの上に精神的な苦しみまで背負い込まされました。
 この36年間私は苦しみました。孤独でした。
 人間である事の悲しみを存分に味わいました。科学の限界を知らされました。

 (中略)

 私たちは、自己と他者、自分と他のものという二次元的な考え方に深入りしていきます。
 元来、自分と対象物という見方をするところに執着が生まれ、欲の原因になります。
 ところが一次元的に見たらどうでしょう。私たちは原子からできています。
 一面の原子の飛び交っている空間の中に、ところどころ原子が密に存在するところがあるだけです。
 宇宙を一次元的に見たときの景色です。
 あなたもありません。私もありません。けれどそれはそこに存在するのです。

 このように宇宙の真実に目覚めた人は、物質に執着するということがなくなり、物事も淡々と受け入れる
 ことができるようになります。
 これがお釈迦さまの悟られたことであると私は思います。


 <本文より>
生きて死ぬ智慧_b0002580_11165781.jpg 真理を求める人は
 まちがった考えや無理な要求をもちません
 無常のなかで暮らしながら 楽園を発見し
 永遠のいのちに目覚めているのです
 永遠のいのちに目覚めた人は
 苦のなかにいて 苦のままで
 幸せに生きることができるのです



      『生きて死ぬ智慧』    文 ・ 柳澤桂子    画 ・ 堀 文子    小学館刊
by yoko59225 | 2005-05-22 11:17 | Book
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